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常識打ち破る画期的な研究−王立アカデミー賛辞
 
 プラスチックが電気を通す−。白川氏らの受賞理由となった「導電性高分子の発見、開発」は、
常識を打ち破る画期的な内容だった。
 電気を通す物質といえば金属。不純物を含む化合物からは導電性と絶縁性の切り替えが可能な
半導体が作られ、電子技術の土台となったが電気を通す配線部分は、集積回路を含めて長い間、
金属が頼りだった。しかし、丈夫で軽く、加工しやすい高分子が電気を通せば、画期的な材料に
なる。その開発の最初のきっかけを作ったのが白川氏だった。
 東京工業大学の助手時代、白川氏は勇気半導体の一種、ポリアセチレンの研究に取り組んでい
た。その合成の際、たまたま不純物が混じり、薄い膜が生じたという。この偶然の「失敗」から
関心を抱いた白川氏は、ポリアセチレン薄膜の構造や性質の研究に打ち込んだ。そして、ヨウ素、
臭素などの不純物をポリアセチレンにわずかに混ぜると、導電性に変化が出ることを突き止めた。
 七十六年、今回の共同受賞者となった米ペンシルバニア大学教授のマックデアミッド氏と出会
い、誘われて訪米。米国での共同研究がスタートして間もなく、導電性の非常に高い材料ができ
あがった。米国での国際学会で発表に立った白川氏は、薄膜を介して豆電球をともす実験に成功、
拍手に包まれたという。
 これ以来、導電性高分子の研究は世界で一気に加速した。
 様々な高分子が見つかり、産業界も加わって応用が進んだ。高分子は、分子レベルでの加工も
考えやすく、ねじれた高分子そのものが電磁石になるコイルや、波長の変換材料としても期待さ
れ、ナノテクノロジー(極小技術)の基礎にもなるとみられる。
 
平成12年(西暦2000年)10月11日(水)読売新聞
 
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