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光る魅力 青色LED 応用で広がる可能性
次世代DVDの中核技術 「先行者に利益」絡む思惑
 
 電子部品大手のローム(京都市)が,青色発光ダイオード(LED)の生産にも乗り出す。「ノー
ベル賞級の発明」と評される青色LEDは訴訟合戦が泥沼化し,普及が滞る一因になっている。
訴訟を抱えてまで参入するのは,成長が著しい青色LEDの技術が応用でき,次世代DVD(デジタ
ル多用途ディスク)の中核技術である「青色レーザー」という,もうひとつの巨大市場を身据えたた
めだ。(記者:山川一基)
 
 赤,緑と組み合わせて様々な色を作り出せる青色LEDは,蛍光灯を駆逐するとさえいわれる省エ
ネ照明の本命。「研究したことがない電機メーカーはない」(関係者)ほどだ。しかし,最初に量産
化に成功した日亜化学工業(徳島県阿南市)は「商品は売るが技術は売らない
」。それぞれ独自に開発したと主張する豊田合成,米クリーを特許権侵害で訴えている。三社で市場
を占め,新規参入がほとんどない状態が続く。
 赤や緑のLEDで国内最大手のロームは,青に参入するため,四年ほど前から日亜に提携を申し込
んできた。断られ続けたため昨年十二月にクリーと提携。直後に電力の消費効率を上げるロームの特
許を侵害しているとして,米国での販売差し止めなどを求めて日亜を米国際貿易委員会に訴えた。日
亜もすぐにクリーを逆提訴した。
 ロームの高須秀視取締役は「米国で日亜の特許を無視して青色LEDの生産を始める動きも出てき
た。待つ限界だ」と話す。「限界」には,青色LED市場の急拡大に加え,次世代DVDの開発が佳
境を迎えていることも含まれている。
 デジタル画像データを読み書きする次世代DVDには,今のDVDが使う赤色レーザーより波長が
短く,同じ面積で四倍のデータ量を書き込み読み出せる青色レーザーが欠かせない。青色レーザーは,
青色LEDと同じ窒化ガリウムを使う製法が有力で,LEDの特許と多く重なる。
 地上波テレビのデジタル化が始まる二〇〇三年を開発のめどにしているDVDメーカーは,仕様を
決める最終段階にあり,基幹技術であるレーザーの供給体制に気をもむ。国内最大手のパイオニアは
「特許争いで生産にブレーキがかかると,DVD開発に影響が出かねない。レーザーの生産者が増え
てくれれば安定供給が期待できる」(広報)と話す。
 家庭用ビデオ機に取って代わるとされる次世代DVDへの期待は各社とも高い。日亜は「発売時期
は未定」としつつサンプルをすでに発表。豊田合成も青色レーザーを完成させ,間もなく公表する。
ソニーなど電機大手も開発を進めているといわれる。各社には「いち早く開発してDVDメーカーと
手を組めば,大きな先行者利益が見込める」(田中裕・豊田合成副社長)との思いがあり,訴訟合戦
を展開しつつ,開発に全力を注いでいる。
平成13年(西暦2001年)2月21日(水)産経新聞
 
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