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原子配列構造クッキリ 世界初 立体写真の撮影に成功
奈良先端科学技術大学院大学の大門教授
 
 奈良先端科学技術大学院大学の大門教授(奈良県生駒市)の大門 寛教授は平成十三年三月二日
(金),原子から放出される光電子を利用する「立体電子顕微鏡」を開発,原子配列構造の立体写真
の撮影に世界で初めて成功したと発表した。新たな超伝導物質の開発などへの応用が期待できるという。
 大門教授は,左右それぞれに回転しながら進む「円偏向エックス線」を原子に当てると,原子核の
中の光電子が回転しながら,左右方向にずれて散乱していく性質に注目。このずれの角度と,左右の
目で物体の見え方が違う「視差角」が同じことに気づいた。
 撮影されたのは,タングステンの原子配列。独自に開発した分析器を用い,円偏向エックス線を照
射。左右にずれて散乱する光電子の放出角度分布パターンを測定し,原子の配列構造をとらえた二列
の角度の異なる写真として画像化することに成功した。
 現在の最高レベルの電子顕微鏡の二千倍に当たると二百億倍の倍率で観測できるという。
 将来的にはリアルタイムの映像表示も可能で,大門教授は「排ガス中の一酸化炭素や
窒素酸化物を吸着する触媒の仕組みの解明にも役立つと期待している」と話している。
 菅滋 正・大阪大学院基礎工学研究科教授(放射光物性)の話「光電子解析の一つの手法として,
原子の配列の遠近感を子供でも目で見て分かるようにしたのは意義深い。リアルタイムで見られる可
能性に期待したい。」
 
 原子の配列構造を立体的に分析する顕微鏡を開発した大門教授と,撮影した写真のイメージ図。
平成13年(西暦2001年)3月3日(土)産経新聞
 
 既存の電子顕微鏡では,平面投影像,走査トンネル顕微鏡でも表面の原子配列の凹凸しか分からず,
立体構造を知るには複雑な解析作業が必要だった。
 円偏向エックス線は大型放射光施設「Spring(スプリング) 8」(兵庫県三日月町)で作った。
 現在は一枚の撮影に十五分程度かかるが,将来放射光技術が進歩すれば,触媒などの反応中にリア
ルタイムで観測もできるという。
 研究成果は,三月五日発売の米物理学会誌や,二十九日の応用物理学会の講演会で発表される。
平成13年(西暦2001年)3月3日(土)奈良新聞
 
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