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内耳にコンパス ハトの帰巣性なぜ? 地磁気捕そくの新説
広島大学長
 
 鳥類の帰巣性や魚類の回遊について,ほ乳類にはない壷嚢(つぼのう)と呼ばれる内耳の平衡器官
が地磁気をとらえて方角を判断しているとする新説を,広島大学の原田康夫学長(69)=耳鼻咽喉(い
んこう)科学=が発表した。壷嚢の耳石(じせき)に放射光を当てて元素分析したところ,鉄などの
磁性成分が見つかった。
 ハトなどが,見知らぬ土地で放たれても巣に帰り着く帰巣性については,太陽や星の位置,きゅう
覚などが関連しているなど所説があるが,平衡器官の磁性物質について指摘したのは初めて。近く,
スウェーデンの耳鼻咽喉科学専門誌に発表する。
 壷嚢は三次元空間の感覚器と考えられており,魚類,鳥類,両生類,は虫類に備っている。壷嚢の
中にある耳石を放射光分析した結果,カモで4.3%,ハトで0.7%,魚類でも0.05〜0.1%の比率で,
鉄やマンガンなどの磁石の成分が確認された。
 ハトの場合,耳石は長さ約1ミリ。地磁気を感じて磁石の針のように方向を変えること
ができ,耳石と耳石膜に接する感覚毛が,耳石の動きを感じて,脳に方角を伝えていると推測してい
る。
 原田学長は「鳥類や魚類の帰巣性は数世紀にわたるミステリーだった。地震前のナマズやボラの異
常行動も,地磁気を感じ取っていると考えれば説明できる」と話し,さらに多くの動物の壷嚢の分析
を進め,動物の平衡器官と帰巣性との関係を検証したいという。
【記者:石塚孝志】
平成13年(西暦2001年)3月17日(土)毎日新聞・夕刊
 
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