子ども部屋・個室密室化の弊害
 
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 鉛筆を正しく持てる小学生は一割にも満たないという。いや大学生でも正しく持てるのは極めて少
ないとか。その鉛筆をナイフで削れない,ハシをきちんと持てない,卵が割れない,タオルが絞れな
い・・・▼筑波大学・杉原一昭教授が日経夕刊のコラム欄でお書きになっていたが,なぜ鉛筆を正し
く持てなくなったか。いま子どもたちは個室を持ち,一人で勉強している。昔はちゃぶ台できょうだ
いと一緒にやっていて「その持ち方,変だよ」と注意されたというのである ▼つい先日,同じ意見
を専門家から聞いたところだった。松田妙子さん(住宅産業研修財団理事長)は,戦後まもなく渡米。
米テレビ界で日本人初のプロデューサーになり,帰国後は住宅産業(日本ホームズ)を興した肝っ玉
母さんである▼2×4工法の紹介者でもある松田さんが昭和五十年前後から警告してきたのが「家を
つくって子を失う」悲劇だったそうだ。「日本では戦後の住宅に普及した子ども部屋が,勉強部屋か
らはじまったことが禍根を残しました」▼子ども部屋の入り口に鍵までとりつけている家庭が十二%
を超えている。「親心はわかるけど,子ども一人ひとりに専用の部屋をあてがう必要が果たしてある
のだしょうか」。個室が家庭教育のしつけどころか,親子の会話をなくし,子どもの人間形成をむし
ばんで,非行や少年犯罪の温床になっているという ▼松田家では子どもが成長するまで個室を与え
ず,親子五人で使うファミリールーム,いわば”洋風茶の間”を設けていたそうだ。松田さんは戦後
の三ボケ(ぜいたくボケ,平和ボケ,甘やかされボケ)と,個室密室化の弊害をしきりに説いてやま
ない。(産経抄)
 
平成13年(西暦2001年)3月30日(金)産経新聞
 
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