主要200社 36%が「採用増やす」
来春新卒本社調査 技術系中心に2年連続好転
 
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 毎日新聞社は6日,全国主要200社を対象にした2002年春の新卒採用計画をまとめた。採用予定
数を今春実績(調査時点の内定者数)より「増やす」企業は全体の36%(昨年31%)を占めた。逆
に,「減らす」企業は9.5%(同21%)と大幅に減少。2年連続で「増やす」が「減らす」を上回り,
企業の採用意欲の高まりを裏付けた。「今春並み」は39.5%(同17%),「未定」は15%(同31%)。
景気後退の懸念が広がっているが,技術系を中心に成長が見込める戦略分野で積極的に採用する企業
が増えている。
 調査は3月上旬から下旬にかけてアンケート方式で実施,一部取材を加えた。集計に基づく来春の
採用予定動向は,今春より「増やす」が72社で,全体に占める割合は前年と比べ5ポイント改善し
た。「減らす」が19社,「未定」が30社。「今春並み」が79社だった。
 「増やす」理由としては「特定部門の強化のため」を挙げた企業が24社で最も多い。具体的には
「IT関連」「研究開発」「営業」に重点を置いている。「業容拡大への対応」と答えた企業も23社。
「減らす」理由は「組織の簡素化など社内改革を実施したため」「人員補充は契約社員や派遣社員で
まかなう」など。
 業種別で見ると,採用増加傾向が著しいのは電機・通信機,自動車など国際競争が激化している業
界。研究・開発分野の人材投資を積極的に行っている。消費不況の影響を受ける流通は3社が採用ゼ
ロとするなど慎重な姿勢を取っている。
 即戦力を重視して中途採用者の採用ウエートを高めたり,職種別採用を導入する企業も増えている。
終身雇用を前提とした新卒者の一括採用方式が変化しているようだ。
【記者:須佐美玲子】
平成13年(西暦2001年)4月7日(土)毎日新聞
 
 景気の先行き不透明感が広がるなか,将来性の見込める事業に向けた人材は積極的に採用する−。
毎日新聞社が主要200社に行った2002年度の採用アンケートでは,重要分野の強化を図る企業の採
用戦略が浮き彫りになった。また,産業界では依然リストラの動きが広がっているが,新規採用抑制
で生じた年齢構成のひずみの解消に向けて採用増に転換する動きも出ている。
【記者:須佐美玲子・田畑悦郎】
IT,自動車
 松下電器産業は大卒技術系の採用数を今春実績の500人から5割増の750人とする。デジタル技術
の進展で不足しがちなソフトウエア開発要員の確保が狙い。東芝,三菱電機もそれぞれ100人増やし
て500人とするほか,日立製作所,NEC,三洋電機も軒並み採用増を計画している。
 IT(情報技術)関連だけではない。武田薬品工業は研究職を中心に技術系の採用を今春より約3
倍に増やし,142人とする予定。ゲノム創薬(人間の遺伝情報を基にした新薬開発),たんぱく質解
析など研究部門を強化する。
 また,自動車業界も技術系を中心に採用増が目立つ。今後,環境対策や自動走行が可能になるIT
S(高速道路交通システム)普及を見込んだ次世代乗用車の開発競争に対応する体制を整える。人員
削減を続けてきた日産自動車も技術系は昨年の約1.8倍に。「良い製品の開発は日産にとって生命線。
強化すべき開発部門は人員を増やす」(同社広報部)考えだ。鉄鋼,商社 業績低迷が続き,採用を
抑制していた鉄鋼大手5社のうち,昨年並みの神戸製鋼所を除く4社が採用を増やす。住友金属工業
は「技術伝承に支障が生じ,世代間の人員構成にゆがみが出る」(下妻博社長)ため,3年ぶりに新
卒採用を再開する。また,関連会社の整理に取り組んでいる商社でも丸紅,住友商事が採用増に転じ
た。
 採用アンケートの「増やす」理由の中で「過去の採用抑制のため相対的に採用枠が増える」との回
答が16社あった。リストラの一環で続けてきた採用抑制も限界に近くなっている。
流通など
 一方,「採用を見送る」と回答した企業は7社。阪急百貨店,西友,マイカルの流通3社のほか,
規制緩和で競争激化している企業も顔をのぞかせる。
 回線接続料,市内通話料の引き下げで収益が悪化しているNTT関西は昨年に引き続き採用を見送
る。料金引き下げ競争が激しい航空業界は,日本エアロシステムが5年連続の採用ゼロ。
 経営不振のマイカル(1963年創業),昨夏の食中毒事件で業績の悪化が続く雪印乳業(25年創業)
は初めて採用を見送る。
 
若原尚・関西大学就職課長の話:昨年は求人件数が前年比10.9増。今年はさらに上回る勢いを感じ
ている。技術系枠が増えているが,それらにつられて文系も増えている。採用抑制した企業が将来を
にらみ,採用増加に踏みきっている。企業の採用活動は早期化しているが,よりよい人材を確保する
まで継続する長期化も特徴だ。ただ,これ以上景気が悪化すれば,夏以降に採用数を下方修正する企
業が出てくることに懸念を抱いている。
 
平成13年(西暦2001年)4月7日(土)毎日新聞
 
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